Copyright (C) 2004-2006
suouoshima.com
All Rights Reserved.

■会社員時代編・第6章 ・・・ 迷走

あれこれ思い悩んでいる間も本業である会社員としての仕事は多忙を極め、起業のことだけに頭をめぐらせている余裕もなくなる。
出来の悪い不良社員とはいえ、10年選手ともなればそれなりの責任ある仕事に従事しており、最低限与えられた仕事は完遂させる義務がある。
比較的安定した給与や福利厚生、日々の積み重ねによって慣れてきたルーティンワーク、製品の開発成果に対する達成感など、目の前の仕事に追われる日々が続くことで、皮肉にも会社員としての魅力を改めて再認識することになり、起業に対して迷いを生じ気持ちは混迷を深める。

●webサイトの運営に関する知識および経験不足
●地縁があるとはいえない周防大島での起業
●未経験の販売業
●オンリーワン商品を作り出すことの難しさ

これらの課題が重くのしかかってくると、日々と忙しさと相まって起業に対するネガティブな思考が頭の中を占拠する。
起業プランが具体的になり現実味を帯びてくるほど期待より不安な気持ちが色濃くなっていく。
自分に起業は無理ではないか・・・という気持ちに支配される。
さらに周りを見れば友人の多くは住まいの購入等、着実に生活基盤を構築しているが、自分といえば生活基盤を根底から揺るがす起業を目指している。
この周りとのギャップも起業を躊躇させ、マイノリティな自分に孤独を感じさせるには十分な要因であった。
「起業なんて若気の至りの極みだな・・・」と覇気のないつぶやきまで漏れる始末。
今思えば仕事の忙しさも多分に影響していたと思われるが、起業に想いをはせるほどネガティブな心理状態に陥っていった。

しかし立ち返って起業の動機を考えると、生涯のライフワークとしてやり甲斐のある仕事に従事したいという一心であり、豪邸に住み高級車を乗り回したいということではない。
家族で慎ましく暮らせるだけの収入は泥にまみれてでも確保すると腹を決めればよい。
今後何十年を大企業という傘の元で会社員として過ごすか、風雨に曝されながらも志を持ち事業に邁進するか。
30歳・・・ドンキホーテな人生を選択するには、時間は余り残されていない。